沖縄のテクノロジー文化展「KOZAROCKS」は、地元のスタートアップストリート、音楽文化、企業、銀行、政府、学術研究機関、そして海外の新興企業を集結させています。今年は日本のスタートアップに加えて、多くの国際的な新興企業も参加しましたが、特に台湾のスタートアップの比率が最も高くなっています。

自動運転と車両サービスの分野では、台湾の「智慧駕駛」（以下、台智駕）、科飛数位、毫米波科技、そしてスマート医療分野の精拓生技と台湾牙e通、さらにスマート自販機ソリューションを提供する業安科技の6社が、沖縄市場を見据えた台湾のスタートアップとして参加しています。

沖縄と言えば観光や旅行が思い浮かびますが、KOZAROCKSはデジタルヘルス、持続可能な観光、循環経済、再生可能エネルギーの4つの分野に焦点を当てた革新を追求しています。台湾のスタートアップはどのように沖縄の転換を支援するのでしょうか？

テクノロジーで人手不足を補い、持続可能な観光を実現

台智駕と業安科技は、すでに沖縄市場に進出しているスタートアップです。

業安科技はIoTソリューションを提供し、従来の自販機をスマート自販機に変革し、モバイル決済、クラウド在庫監視、販売データ分析をサポートしています。業安科技のプロジェクトマネージャーである陳瑛容氏は、2023年に市場露出を目的としたマーケティング活動「自販機大冒険」を行い、星宇航空との協力を進める中で、観光客が多く訪れる地域を選ぶ必要があり、沖縄が選ばれたと述べています。現在、業安科技は沖縄において100台以上の自販機を導入し、2つの運営業者にサービスを提供しており、空港や那覇市内の主要観光スポットをカバーしています。

もう一つのスタートアップ、台智駕は、閉鎖された環境での自動運転ソリューションを提供しており、沖縄の交通プラットフォーム「Xtran」の招待を受けて、2024年に宮古島で観光用の自動運転車のテストを実施する予定です。また、KOZAROCKSの「GxPartners Award」も受賞しました。宮古島の年間観光客数は100万人を超えますが、タクシーは約200台しかなく、明らかな交通人手不足が存在しており、台智駕は沖縄市場の潜在能力を見込んでいます。

1年ぶりに、台智駕の共同創業者兼CEOである陳維隆氏は、日本に子会社を設立する予定であり、顧客と共同で新しい合弁会社を設立することを発表しました。顧客が市場のプロモーションを担当し、台智駕はソフトウェアライセンスを通じて追加収入を得る計画です。

成功事例が自動車産業のスタートアップに冒険を促す

台智駕の成功事例は、他の2つの「車」に関連するスタートアップが沖縄市場を探索する勇気を与えました。

車両オペレーティングシステムのソフトウェア開発を行う科飛数位は、すでに日本市場に進出しており、現在、日本のTier-1自動車メーカーとのPoCを交渉中です。沖縄には直接的なサプライチェーンや顧客はありませんが、科飛数位は沖縄が現段階では燃料車が主流であることを考慮し、持続可能な観光の方針を踏まえると、電気自動車市場には大きな潜在能力があると考えています。そのため、科飛数位は早期に市場に参入することができると見込んでいます。

毫米波科技は、ミリ波レーダーを用いてスマートキャビンや乳児検知などの安全アプリケーションに焦点を当てており、すでに日本市場に進出し、東京の3つの代理店と提携しています。毫米波科技のCEOである林育正氏は、現在のチームのアプリケーションは主に自動車に関連していますが、沖縄にはもう一つ重要なアプリケーションがあると述べています。それは、高齢者の動向を検知し、介護者に即時に通知することです。林氏は、これが毫米波科技の新しいアプリケーションの試みの始まりになると考えています。

津梁基金とOISTが資源を提供、デジタル医療が新たな焦点に

歯科分野のデジタル統合ソリューションを提供する台湾牙e通も、台智駕などの成功事例に触発されて初めて沖縄に参加しました。台湾牙e通の創業者である陳欽章氏は、現在沖縄市場を探っているが、新たに設立された投資ファンド「津梁基金」が大きな誘因になっていると述べています。

「津梁基金」は、1,000万から5,000万日本円を投資し、20社のシードステージのスタートアップを支援する計画です。これにより、スタートアップが沖縄に根付いた後、東京に進出してビジネスを拡大する手助けをします。

もう一つの重要な資源は、日本内閣が直接管理する私立大学OIST（沖縄科学技術大学院大学）です。OISTでは、博士課程の学生がバイオテクノロジーやディープテックを主要な研究テーマとしており、2018年からスタートアップアクセラレーターの技術開発協力プログラムを開始しています。

昨年KOZAROCKSのプレゼンテーションコンペティションに参加した癌治療薬の試験を行う精拓生技は、OISTの今年のプログラムに選ばれました。精拓生技の創業者兼CEOである陳柏翰氏は、沖縄は精拓生技の最終市場ではないが、OISTの資源を活用し、沖縄を将来の重要な研究拠点の一つとして位置づけると述べています。

上記の6社に加え、点点塑環保科技は海洋廃棄物を再生した製品を地元の商店街で販売し、レンタカーのプラットフォーム「Gogoout」も沖縄に進出しています。台湾のスタートアップは、スマート交通、持続可能な観光、デジタル医療などの分野で沖縄で静かに存在感を示しており、沖縄は台湾から最も近い日本市場としての地位を確立しています。