世界中の企業が、複雑なデータや国際規制に苦しむ中、日本のカーボンマネジメントテクノロジー企業ASUENE（旭能科技）は、「カーボン排出管理」を重い義務から軽快な日常業務へと変革することに成功しました。

ASUENEは、IoT（モノのインターネット）を活用し、自動生成されるカーボンチェックレポート、内蔵されたカーボンクレジット取引機能、第三者認証を備えたワンストッププラットフォームを提供し、企業がネットゼロカーボンを達成する手助けをしています。現在までに、1万3千社以上の日本企業に導入されています。また、SONY、SBI、三井住友銀行などから合計106億円（約21.5億台湾ドル）の資金を調達し、『TIME』誌によって「世界で2番目に大きなカーボンマネジメントテクノロジー企業」として評価されています。

しかし、現在市場には多くのカーボンチェックソリューションが存在し、統一されたものはありません。テクノロジーの巨人であるマイクロソフトやGoogle、情報サービスプロバイダーである精誠情報などが、カーボンチェック管理のビジネスチャンスを狙っています。日本のASUENEの競争優位性はどこにあるのでしょうか？

日本のASUENEがワンストッププラットフォームでカーボン管理を再定義する方法

これまで多くの企業にとって、カーボンチェックは「やらなければならないが、利益にはならない」苦痛な作業でした。なぜなら、カーボンチェックのデータはほとんどが手作業で整理された記録やExcelの統計から得られていたからです。さらに、企業はしばしば部門を超えた協力が必要であったり、外部のアウトソーシング会社にデータを集約させたりESGレポートを作成させたりする必要がありましたが、待機時間が長く、コストが高く、結果が遅いという問題がありました。

2019年に設立された日本のASUENEは、これらの煩わしい作業を「ソフトウェア化、自動化」し、企業が簡単にカーボンチェックレポートを生成できるようにし、「カーボン」に対する不安を軽減しました。

「カーボンチェックは、財務報告書と同様に、企業経営の基本ツールとなるべきです。」とASUENEの創業者西和田浩平（Kohei Nishiwada）は日本のメディアに語っています。ASUENEのプラットフォームを通じて企業が既存のIoTデバイスを接続することで、会計システム、調達データ、生産管理、電力データなどを自動的に統合し、APIを通じてカーボン排出に関連するデータを自動的に取得することができ、手作業の負担を大幅に軽減します。

さらに、カーボンチェックだけでなく、ASUENEのプラットフォームにはカーボンクレジット取引モジュール、ESGレポート生成機能、第三者認証サービスが内蔵されており、外部のコンサルタントを探すことなく、全てのプロセスを完了することが可能です。したがって、カーボン管理に不慣れな中小企業にとって、このようなワンストップカーボン管理ソリューションは、大企業とのリソースのギャップを埋めるのに最適です。

ASUENEが日本で高い市場シェアを持ち、1万社以上の企業の脱炭素ニーズを支援している理由について、ASUENEは『デジタル時代』に対して「AI技術」が鍵であると述べています。

ASUENEのプラットフォームに内蔵されたAIモジュールは、企業が必要とするカーボン排出データを自動的に取得します。これは、カーボンチェックレポートに必要な範疇1（直接排出）、範疇2（間接排出）、最も難しい範疇3（サプライチェーンのカーボン排出）まで計算に含めることができ、企業の業種、自社データ、国際規制（CDP、TCFD、SBTiなど）に基づいて自動的に提案やレポートの草稿を生成します。

例えば、システムはCDP（顧客データプラットフォーム）の質問票の草稿を自動生成し、AIがカーボン排出係数を自動的に結び付け、世界各国の国際排出係数データベースがリアルタイムで更新されます。2024年までに、ASUENEは各国の排出係数をカバーする8万件以上のデータを構築し、企業の異なる市場規制ニーズに対応するデータサポートを提供しています。

ASUENEは現在、日本のカーボン排出可視化市場で第一位の業者であり、顧客には三井住友フィナンシャルグループ、リコー（Ricoh）、ダイキン（Daikin）などの大手多国籍企業が含まれています。また、アメリカ、シンガポール、タイ、イギリスなどにも展開しています。ASUENEは、プラットフォーム導入後、企業から「チェック作業の負担が予想以上に大幅に軽減された」「複数のレポートタスクを統合でき、効率が大幅に向上した」といったポジティブなフィードバックを受けています。

台湾のカーボンチェック市場に進出するASUENEの新しいカーボン管理とは？

ASUENEが日本市場に深く根ざした後、なぜ台湾市場に進出することを決定したのでしょうか？

ASUENEが台湾をアジア太平洋地域の拡張の重要な拠点として選んだ理由は、台湾の「企業のネットゼロ排出」に対する市場ニーズを見込んだからです。台湾は世界の半導体および精密製造の中心地であり、サプライチェーンの圧力が範疇3のカーボン開示と排出削減に集中しています。特に、EUのカーボンボーダー調整メカニズム（CBAM）や国際ブランドがサプライヤーに対して一次的なカーボンデータの提供を求めるトレンドの中で、企業は実行可能で自動化され、国際基準に適合したカーボン管理プラットフォームを切実に必要としています。

2024年、ASUENEは正式に台湾市場に進出し、現地のエネルギーデータ企業である思納捷（InSynerger）と提携し、ASUENEプラットフォームが台湾の電力データと接続され、より正確なリアルタイムのカーボンチェックを提供します。また、一卡通（iPASS）と協力し、交通データを製造、物流、輸送業界の範疇3のカーボン排出削減に向けたデータ収集を支援します。

ASUENEは、日本のカーボンチェック制度が成熟しているのに対し、台湾は市場構築の初期段階にあるため、日本で蓄積した「カーボンデータインフラ」の経験を輸出し、台湾の国際カーボン報告基準における制度のギャップを埋めることができると述べています。今後、台湾に国際的な接続能力を持つカーボンクレジット流通システムを構築し、カーボン排出が単なる受動的な開示ではなく、企業が積極的に管理し、金融資産として活用できるようにすることを目指しています。

「私たちはGX（グリーントランスフォーメーション）とESG領域のグローバルデータプラットフォーム企業になりたいと考えています。」と西和田は以前、日本のメディアのインタビューで強調しました。創業者にとって、ASUENEの最終目標は「企業の電力削減、カーボン削減、レポート作成を手助けする」だけでなく、AI、ESG、カーボンクレジット、取引、認証を横断するデータインフラを構築することです。

本記事は《數位時代》の許可を得て転載しています。作者：郭采樺，原題：SONY和三井住友都投資！「碳管理新創」ASUENE搶占台灣市場，是什麼來頭？