日本に本社を置くベンチャーキャピタル、Headline Asiaは20日、1億4500万ドルのHeadline Asia Fund Vの設立を発表しました。これはHeadline Asiaにとって過去最大規模のファンドとなります。

Headline Asia Fund Vの主要な投資家には、日本政府主導で設立された官民合同の投資機関JIC、日本の中小企業基盤整備機構（SME Support Japan）、韓国の国営投資機関KVIC、そして台湾の国家発展基金が含まれています。投資分野は、Eコマース、物流、フィンテック、コンテンツテクノロジー、AIに集中し、1件あたりの投資額は100万～500万ドルの範囲です。

「私たちは引き続き国際的なスタートアップを投資し、育成したいと考えています。」とHeadline Asiaの創設者兼パートナーである田中章雄氏は『創業小聚』のインタビューで語りました。「しかし、今回は戦略を少し変えて、シードラウンドからシリーズAラウンドの初期スタートアップにより注力します。」

AIの登場で、起業家はプロダクトマネージャーのようになるべき

この戦略は生成AIの出現と切り離せません。

田中章雄氏は、生成AIがスタートアップの成長軌道に「質的変化」をもたらし、成長の爆発力が従来とは比べ物にならないと述べています。「現在のスタートアップは、少額の資金と小規模なチームでシードラウンドの資金を調達し、その後は自力で成長できる可能性があります。台湾のHeptabaseのような例は、以前では実現が難しかったでしょう。」

しかし、田中章雄氏はAIが運営方法の一部を変えただけで、起業プロセス全体を変えたわけではないと注意を促します。

「AIの登場により、起業家は市場に対する洞察力がより求められ、プロダクトマネージャーのようになる必要があります。」と田中章雄氏は説明します。技術のハードルが下がる一方で、市場が求める製品を作り出すことが競争の鍵となり、これはHeadline Asiaが今後の投資で重視するポイントとなります。「日本のエンジニアの能力が台湾ほど強くないかもしれませんが、日本が世界に影響を与え続けるのはユーザーエクスペリエンスを重視しているからです。」

ベンチャーキャピタルもAIに適応する必要がある

しかし、AIが変えるのはスタートアップだけではなく、ベンチャーキャピタルも同様に影響を受けます。

スタートアップが早期に利益を上げる機会が増えるため、ベンチャーキャピタルの資金が以前ほど魅力的でなくなる可能性があります。田中章雄氏は、AIが製品をよりローカライズしやすくする一方で、人脈、リソース、市場の洞察などの結びつきはAIでは提供できないと指摘し、これが将来のベンチャーキャピタル間の競争の鍵となると述べています。

Headline Asiaはアジアで15年間にわたり深く根を下ろし、100社以上のスタートアップに投資し、強力なエコシステムとネットワークを形成しています。Headline Asiaは、製品のローカライズ戦略、人材採用計画、グローバルマーケティング計画など、現地市場への進出に必要なリソースを蓄積してきました。

田中章雄氏は、Headline Asia Fund Vがチームの「国際性」と「国際発展の可能性」をより重視すると強調しています。現在、このファンドは米国で起業した台湾チームのCheehooや、日本に進出したシンガポールのスタートアップPi-xcelsなど、17社のスタートアップに投資しています。

「私たちは、国際的な要素を持つスタートアップにもっと投資し、エコシステムを豊かにし、スタートアップの成長を支援したいと考えています。」と田中章雄氏は語っています。