日本の厚生労働省が発表した「2023年厚生労働白書」によると、30歳から39歳の男性と20歳から29歳の女性の約1割が、常に孤独を感じていることがわかりました。これを受けて、日本社会では匿名の出会い系アプリが数多く開発され、現代人の空虚感を埋めることが期待されています。その中でも「ランダムチャット」というアプリが日本人に人気で、ダウンロード数は100万を超えています。

実は、このランダムチャットは台湾人によって開発されました。共同創業者の吳季樺（ウ・ジーファ）は、日本で工学の修士号を取得し、その後も日本のマイクロソフトで働くことを選びました。彼女は余暇を利用してプログラミングを行い、匿名の出会い系アプリのビジネスチャンスを発見し、PNYO合同会社を設立してランダムチャットを開発しました。

なぜ彼女は日本で起業することを選んだのでしょうか？日本の「孤独」ビジネスは本当にそれほど大きな市場なのでしょうか？

日本社会のニーズを的確に捉える

ランダムチャットは日本人の余暇を埋めることができ、現代の人々の内面的なニーズである「孤独」を満たすことができるのです。

吳季樺が最初に出会い系アプリを作った目的は、結婚や恋愛市場を狙うことではなく、人々が時間をつぶし、社交を楽しむためのツールを提供することでした。ランダムチャットが初めてリリースされたときは、ランダムマッチングによる1対1のテキストチャット機能のみでしたが、その後、グループチャットや音声通話機能が追加されました。彼女は「一部の人々は、動画プラットフォームを見るという受動的な娯楽ではなく、自分から『積極的に』娯楽を提供したいと考えている」と説明しています。仕事が終わった後でも、ユーザーは誰かと話をして、自分の社交エネルギーを使い果たしたいと思っています。

ランダムチャットのページに入ると、すぐにシステムが設定した名前とプロフィール画像がランダムに表示され、「開始」ボタンを押すと、システムが1秒以内にチャット相手を見つけてくれます。

その後、吳季樺はユーザーの利用習慣を観察し、グループチャットの中で約9割のユーザーが「潜水ユーザー」であることを発見しました。彼らは会話に参加するのが好きですが、必ずしも発言するわけではなく、聞くことを好みます。ランダムチャットはこれに対応して、新機能「音声ライブ」を導入しました。「クラブハウスのようなものです」と吳季樺は説明し、「より活発で表現力豊かな1割のユーザーが生活をシェアし、他の9割のユーザーにサービスを提供するのです」と語っています。

AAMAに選出、アジア拠点を開発へ

近年、日本社会では様々な出会い系やSNSアプリが雨後の筍のように登場していますが、実際のところ、機能は大同小異です。競争が激しい市場の中で、ランダムチャットが他の製品とどのように差別化を図っているのかを尋ねると、吳季樺は、アプリの使いやすさを説明しました。ダウンロード後、アカウントの申請やログインは不要で、性別を選ぶ必要もなく、プロフィール画像の色やチャット相手もランダムに割り当てられます。

吳季樺はさらに、出会い系アプリの差別化はユーザーが見えないところに現れると強調しました。「例えば、詐欺メッセージをどのようにフィルタリングし、適切な措置を取っているかどうかです」と彼女は語ります。ランダムチャットでは、不定期にパトロールを行ったり、敏感なキーワードを設定したりして、プライベートな画像や個人情報の漏洩を防ぎ、未成年者の使用を防止しています。

ランダムチャットの月収はすでに100万円（約200万台湾ドル）を安定して超えており、現在のデイリーユーザー数は約10,000人、月間ユーザー数は約10万人です。ユーザーの粘着度も高く、平均使用時間は1時間を超えます。以前行った「Must-have affair」調査によると、サービスが停止すると約8割のユーザーが失望すると答えています。

ランダムチャットは現在、日本語を話す人々をターゲットにしていますが、吳季樺は今後、韓国や台湾市場にも展開したいと考えています。彼らは今年、AAMA台北クレードルプログラムに選ばれ、これを機にアジア拠点を開発することを期待しています。

ソフトウェアの将来の発展について、吳季樺は、ランダムチャットがAIを使用してコミュニティをより安全にし、さらに多くの機能を提供することを試みていると予告しました。「私たちは完全に人間によるインタラクションを売りにしていますが、将来的には完全にAIによるソーシャルソフトウェアを提供する可能性もあります。今とは全く逆のものです！」と吳季樺は無限の希望を抱いています。

チーム情報

会社名：PNYO合同会社
設立年：2020年
製品名：ランダムチャット
公式サイト