新たなパラダイムが求められる中、世界の海洋汚染問題が深刻化する中で、一部の人々が静かに海洋環境のために努力し、廃棄物を価値ある商品に変える活動を行っています。その中でも「點點塑」は特に注目される企業です。この企業は海洋廃棄物の回収と再利用に特化したスタートアップで、CEOの洪以柔の指導の下、台湾で環境保護事業を推進し、日本市場にも成功裏に進出し、海洋環境保護事業に新たな展望を開いています。

海洋廃棄物から文創商品への転換の道

点点塑のコアビジネスは海洋廃棄物の回収と再利用に焦点を当てており、海を汚染していた廃棄物を実用的な文創商品に変換しています。サービスの範囲には、漁網の収集、漁網を回収して海洋廃棄物を用いた文創商品を製作すること、コンサルティングサービスの提供、無人船を用いた海港作業による海洋プラスチック微粒子の汚染調査が含まれます。

また、彼らは桃園市政府や新竹市政府、学校と協力し、桃園の竹囲漁港や永安漁港で海漂流ゴミの除去やプラスチック微粒子のフィルタリングを行い、新竹の港で調査と分析を行い、海洋委員会に報告書を提供するなどの活動も行っています。

さらに、点点塑の製品ラインは非常に多様で、日常生活のさまざまな側面をカバーしています。実用的な家具（テーブルや椅子、スマートフォンスタンド）から、記念価値のあるお土産まで、すべての製品には海洋環境保護の理念が込められています。これらの製品は実用性だけでなく、その背後にある環境保護のストーリーを通じて、消費者が使用する際に海洋環境保護に貢献しているという達成感を感じられるようになっています。

日本市場進出の鍵となる契機

点点塑が日本市場に成功裏に進出できた背景には、2つの重要な要因があります。それは、アクセラレーターからの精密なマッチング支援と国際展示会によって生まれた重要な機会です。

洪以柔は、日本企業との協力がスムーズに進んだのは、Creww Taiwanアクセラレーターの支援が大きかったと認めています。彼女は「Creww Taiwanは、協力のプロセスを進める中で、点点塑の製品の特性を深く理解し、日本の大企業が直面しているニーズや課題を把握し、それを基にマッチングを行い、関連するニーズを持つ企業に私たちを紹介してくれました」と述べています。アクセラレーターは、新興企業の製品やコアの強みを熟知しているだけでなく、日本市場の動向や企業文化についても把握しており、適切なタイミングで双方のコミュニケーションの橋渡しを行っています。

台湾-日本新興企業アクセラレーター計画が支援、点点塑が日東製網と循環型協力を開始

Creww Taiwanの指導の下、点点塑は「台湾-日本新興企業アクセラレーター計画」に参加し、日本の上場企業「日東製網」との出会いを果たしました。2024年6月、点点塑は日東製網と協力意向書を締結し、革新的な循環経済の実験を開始しました。日東製網は廃棄漁網を点点塑に提供し、2025年5月にはこの漁網が台湾に到着し、検査が順調に進んでいます。今後、点点塑は廃棄漁網を回収して原料にし、それを日東製網に戻して再び漁網として販売します。このような協力モデルは、新しい資源の使用を減少させるだけでなく、廃棄物の発生を大幅に削減し、真の循環経済の理想を実現することができ、双方に商業的価値を創出するだけでなく、海洋環境保護産業に新たな基準を打ち立てることになります。

日本の企業文化に精通したCreww Taiwanは、交渉過程で直面するさまざまな問題に対する解決策を提供するなど、多様な支援を行っています。このような包括的なサポートにより、新興企業が海外市場に進出する際のハードルやリスクが大幅に低減されます。アクセラレーターの支援に加え、点点塑が日本市場に進出する契機は、ある重要な国際展示会からも得られました。

ResorTech EXPOがFOURSEASとの縁を結ぶ

洪以柔は「点点塑が沖縄県内で最大のIT・DX展示商談会『ResorTech EXPO』に参加し、Crewwの紹介で現地のアクセラレーターFOURSEASと出会いました」と振り返ります。この出会いは、点点塑の製品理念が国際的に認められるきっかけとなり、その後の協力の基盤を築くこととなりました。

FOURSEASは点点塑の製品理念に高い評価を示し、両者はすぐに沖縄の商店街での販売協力を進めることになりました。現在、消費者は沖縄の商店街で点点塑の商品を購入できるようになり、これは点点塑が日本市場に正式に進出する重要なマイルストーンとなりました。

このような協力モデルは国際協力の新たな可能性を示しており、理念を共有する企業と手を組むことで、製品の販売経路を拡大するだけでなく、環境保護の理念をより広範な国際コミュニティに広めることができます。FOURSEASと点点塑の協力は、その最良の例と言えるでしょう。

文化の違いと市場進出の課題

洪以柔は、日本市場に進出する際に多くの課題に直面したことを認めています。彼女は、日本市場に成功裏に進出するためには、日本文化を理解する人材が必要であると考えています。

日本のビジネス環境に適応するため、洪以柔は日本の職場に入るためのコースを受講し、台湾企業とは異なる職場の礼儀を学びました。彼女の積極的な学習姿勢は、点点塑が日本市場を重視し、渇望していることを示しています。

文化適応の課題に加え、法規も日本市場に進出する際の重要な課題です。洪以柔は「日本市場に進出する際には、法規に関する問題が発生する可能性があるため、事前に調査し、準備を行う必要があります」と強調しています。

実際の運用において、点点塑は段階的な戦略を採用し、Creww Taiwanのアクセラレーター計画に参加した後、日本の展示会に参加する中で、政府機関や非政府組織と積極的に交渉し、点点塑に興味を持つ企業を観察したり、会話の中で相手の痛点を見つけ出し、解決策を提供することを目指しています。潜在的な協力機会がある場合には、個別に必要な書類や関連情報を理解し、慎重かつ戦略的なアプローチを通じて市場進出のリスクを低減しています。

沖縄に根を下ろし、東京を見据える

今後の発展計画において、洪以柔は堅実かつ積極的な思考を示しています。彼女は「私たちは沖縄に進出したばかりで、しばらくは足場を固める必要があるため、現在最も重要な目標は沖縄での事業を深耕することです」と述べています。しかし、点点塑の展望は沖縄に留まるものではありません。洪以柔は、日東製網との協力が順調に進めば、将来的にはこの重要なパートナーを基点に、日本の政治・経済の中心である東京に展開する意向を示しました。東京に進出できれば、点点塑にとってより広範な発展の機会と商業的チャンスを提供することになるでしょう。

現地のパートナーと協力し、段階的に拠点を拡大することで、新市場への進出リスクを低減し、現地企業のリソースやネットワークを活用してブランドの影響力と市場でのポジショニングを加速させることができます。

異分野の協力：AMU社との理念の共鳴

点点塑の日本での発展は単一の協力モデルに限らず、FOURSEASや日東製網との協力に加え、宮城県にある環境企業AUMともパートナーシップを築いています。AUMは廃棄漁網の回収と再利用に取り組んでおり、両者は海洋廃棄物問題に同様に関心を持っています。将来的には、製品の代理販売などの形で協力する可能性があります。

興味深いことに、点点塑とAMUの出会いも沖縄でのものであり、国際展示会に参加し、積極的に人脈を築くことの重要性を再確認させられます。点点塑の海外展開の経験から、海外市場の拡大過程では予期しない協力の機会がしばしば現れることが分かります。重要なのは、オープンな心を持ち、志を同じくするパートナーを積極的に探すことです。

スタートアップの海外展開に関する実践的アドバイス

点点塑が日本市場での実践経験に基づき、洪以柔は日本に進出を希望するスタートアップ企業に向けて以下のアドバイスを提供します。

1. 言語能力は基本的なハードル

「日本語のコミュニケーション能力は非常に重要です。言語が通じなければ、日本市場への参入に障壁が生じます。」洪以柔は自身の日本語がまだ不十分であることを認め、現在は日本語の通訳を探すことでこの問題を解決しているが、スタートアップ企業には基本的な日本語のコミュニケーション能力を持つことを強く勧めています。

2. ターゲット顧客の精確な特定

半導体やAI、テクノロジー産業が注目される中、点点塑が注力している分野は市場で特に目立つものではありません。洪以柔は「海洋廃棄物のリサイクルは比較的ニッチな分野であるため、最初からこの分野に興味を持つ企業や環境意識の高い地域住民、地元政府を探すことに集中しました」と述べています。

彼女は理念が一致する潜在的な協力先を明確に特定し、環境意識の高い地域からのアプローチを開始しました。非主流産業のスタートアップにとって、「ターゲット顧客の精確な特定」という戦略は生存率を高め、影響力を拡大し、市場に効果的に参入することができます。

3. 地理的および文化的優位性の活用

点点塑は日本市場への入り口として沖縄を選びました。その理由は、沖縄が台湾と同様に島国であり、住民が海洋環境問題に対して比較的関心が高いからです。地理的および文化的な類似性が高いため、点点塑の沖縄での発展に自然な優位性を提供しています。スタートアップ企業は海外市場を選ぶ際に、このような文化や地理的要因の影響を考慮することで成功率を高めることができるかもしれません。

4. 初心を貫き、理性的に評価する

洪以柔は特に強調しています。海外進出を目指すスタートアップ企業は、自身の核心目標を明確にし、同時に困難に対する忍耐力を持つ必要があります。困難や問題に直面したときは、常に初心に立ち返り、最初に達成したい目標は何かを自問することで、徐々に企業理念に合った道筋を見つけ出すことができると述べています。洪以柔は、今後海外進出を考えるスタートアップに対して「海外展開の道は挑戦に満ちていますが、初心を貫くことで困難の中に進む方向を見出すことができます。」と励ましました。また、海外進出は台湾での発展よりもコストが高くなるため、スタートアップ企業は海外市場が本当に企業の発展に役立つかどうかを評価し、コストと効果を理性的に分析することで、海外展開の計画においてより適切な判断と選択を行うことが重要です。

5. 展示会戦略：製品販売よりも深い交流を重視

洪以柔は個人的な経験を共有し、スタートアップが海外の展示会に参加する際には、まず自社製品を急いで売り込むのではなく、地元の企業や政府機関との深い交流の機会を活かし、関連情報を収集することを勧めています。「相手が重視している分野や関心を持つ問題、例えば海洋保護への関心の程度や海洋廃棄物の再製品に対する理解度を把握するために、相手の視点を多く理解し、自社製品がどのように切り込めるかを評価することが重要です。」

深い交流の戦略を通じて、スタートアップ企業は相手の痛点を見つけ出し、問題解決の鍵となることができ、これにより協力の可能性が生まれます。点点塑と日東製網およびFOURSEASの成功した協力は、洪以柔が最初から積極的に相手のニーズを理解しようとした結果です。

6. 試みと表現の重要性

「非常に重要な点は、試みを恐れないことです。一般企業でも非営利組織でも、情報を多く収集し、自社製品の特徴を勇気を持って表現し、多くの交流を行うことで、市場への切り込みポイントを見つける機会が増えます。」彼女は、最初に日東製網との接触を行った際、相手が解決したい問題を明確に示したことを例に挙げ、点点塑はその機会を活かして考えた解決策を提供し、双方の協力の可能性が生まれたと説明しました。顧客のニーズに積極的に応える姿勢が、最終的に双方の協力を促進し、現在では漁網の廃棄物が台湾に送られ、点点塑によって原料として処理される段階に至っています。

7. 成功への最後のアドバイス

インタビューの最後に、洪以柔は海外進出を目指すすべてのスタートアップ企業に再度警告しました。「スタートアップが海外に出る前には、必ず会社の目標を確立し、盲目的にならないようにし、自分自身の計画を持つことが重要です。」

この言葉は、海外展開の核心要素を示しています。グローバル化の波の中で、海外市場は多くの機会に満ちていますが、すべての企業が海外に進出するのに適しているわけではありません。自分の目標を明確に理解し、明確な計画を持つことで、複雑な国際市場の中で自分の位置を見つけることができるのです。

理念が市場を動かす、点点塑が持続可能なスタートアップの国際的な章を描く

持続可能性が世界的な合意となった今日、点点塑は海洋廃棄物を出発点とし、リサイクルから再製品、文創商品までの完全な循環経済チェーンを構築しています。廃棄された漁網やポリスチレンなどの海洋廃棄物を実用的な家具や記念商品に転換し、環境教育の推進と結びつけることで、点点塑は地域でのグリーン理念を実践するだけでなく、国際市場にも目を向けています。

沖縄のResorTech EXPOへの参加は、海外進出の重要な転機であり、Creww Taiwanのアクセラレータープログラムを通じて、点点塑は日本の地元企業FOURSEASや上場企業日東製網と協力を開始しました。商品が沖縄の商店街に進出するだけでなく、廃漁網のリサイクル再製計画を共同で立ち上げ、国際的な循環経済の新しいモデルを構築しています。

CEOの洪以柔は、言語、文化理解、明確な企業のポジショニングがスタートアップの成功した国境を越えるために欠かせない要素であると指摘しています。彼女は、スタートアップが海外に出る際には、製品の販売に焦点を当てるのではなく、まずは現地のニーズを理解し、切り込みポイントを把握し、長期的な協力関係を築くことが重要であると強調しています。

点点塑の経験は、環境保護がスタートアップの国際化を実現するための実行可能で影響力のある道であることを証明しています。彼らは革新と持続可能性の間で、自分たちの道を切り開いています。

本文は《FINDIT》からの転載許可を得ています。作者：黃敬婷 ，原文：【成功出海新創專訪】從海廢到商機：點點塑跨海前進日本，創造循環經濟